血圧が高いとどんな症状が出るの?放置してはいけないサイン
「最近なんとなく頭が重い」「めまいがするけど、年齢のせいかな?」
そんな体の不調、実は血圧の異常が原因かもしれません。
高血圧は、日本人の3人に1人が抱えると言われる生活習慣病です。
しかし、「特に自覚症状がないから大丈夫」と放置してしまう人も少なくありません。
この記事では、薬剤師の視点から、血圧が高くなることで出てくる可能性のある症状や、見逃してはいけない体のサインについてやさしく解説します。
何気ない体調不良が、実は重大な疾患の前兆だった――そんな事態を避けるためにも、ぜひ最後までお読みください。
高血圧は「無症状」が基本?
高血圧は“サイレントキラー(静かな殺し屋)”とも呼ばれる病気です。
その理由は、血圧が高くても明らかな自覚症状が出にくいため、気づかないまま放置されてしまうことが多いからです。
実際、健康診断で「高血圧」と指摘されても、本人は「何も困っていないから」と放置してしまうケースも少なくありません。
しかし、血管には日々大きなダメージが蓄積されていきます。
そしてある日突然、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を引き起こすリスクが高まるのです。
つまり、「無症状だから安心」ではなく、「無症状だからこそ注意が必要」なのが高血圧の本質です。
では、血圧が高くなると実際にはどんな症状が出やすいのか、次にご紹介していきます。

放置すると現れる代表的な症状
高血圧を放置した状態が続くと、血管や臓器に少しずつ負担がかかり、さまざまな不調が現れるようになります。
ここでは、実際によく見られる代表的な症状をご紹介します。
1. 頭痛(特に後頭部)
朝起きたときに後頭部がズキズキと痛む場合、それは血圧の上昇が関係していることがあります。
血管が圧迫され、血流に異常が生じることで起こるとされています。
2. めまい・ふらつき
立ち上がったときや、急に動いたときにふわっとするような感覚を覚える方もいます。
これは脳への血流の変動が影響している可能性があります。
3. 耳鳴り・肩こり
血圧が高い状態では、耳の血管にも圧力がかかるため、キーンという耳鳴りを感じる人もいます。
また、慢性的な肩こりや首の張りが強くなることも。
4. 動悸・息切れ
少しの運動で心臓がドキドキしたり、息が切れる場合も、高血圧が影響している可能性があります。
これは心臓に負担がかかっているサインと考えられます。
5. 目のかすみ・視界がぼやける
血圧が上がることで、目の奥にある細い血管が影響を受けることがあります。
その結果、視界が一時的にかすむ、チカチカするといった症状が現れることも。
これらの症状は「疲れかな?」と見過ごされがちですが、血圧の異常サインである可能性もあるため要注意です。
こんな症状が出たら注意!重大疾患のサインかも
高血圧そのものは自覚症状が乏しいことが多いですが、放置した結果、重大な病気を引き起こすリスクがあります。
特に以下のような急な異変があった場合は、脳や心臓の疾患の前兆である可能性があるため、早めの受診が大切です。

1. 片側の手足がしびれる・動かしにくい
これは脳梗塞や脳出血の初期症状の一つです。
突然、身体の一部に力が入らなくなったり、感覚が鈍くなる場合は要注意です。
2. ろれつが回らない・言葉が出にくい
会話がスムーズにできない、話している自分の言葉が聞き取りにくい場合は、脳への血流異常が疑われます。
3. 胸の強い痛み・圧迫感
突然の胸の痛みや重苦しさは、狭心症や心筋梗塞の可能性があります。
冷や汗、吐き気、息苦しさなどを伴う場合は、すぐに救急対応が必要です。
4. 視野が一部欠ける・二重に見える
高血圧が原因で網膜の血管が損傷する「高血圧性網膜症」という状態になることもあります。
視力の低下や視野異常がある場合は、早めの眼科受診をおすすめします。
これらの症状は、一過性であっても見逃さないことが大切です。
「しばらく休んだら治ったから大丈夫」と放置せず、体からの警告サインとして捉える意識を持ちましょう。
血圧を測る習慣とセルフチェックのすすめ
高血圧のこわさは、症状が出てからでは遅いという点にあります。
だからこそ、症状がなくても定期的に血圧を測ることが、健康を守るうえで非常に重要です。
1. 家庭用血圧計を活用しよう
今ではドラッグストアや家電量販店などで、手軽で正確な家庭用血圧計が手に入ります。
特におすすめなのは、上腕で測定するタイプ。手首タイプよりも安定した値が得られやすいです。
2. 測定のタイミングと注意点
- 朝:起床後1時間以内、食事や薬の前
- 夜:入浴や食事を済ませたあとのリラックスした時間
毎回同じ時間帯・同じ姿勢で測ることで、正確な経過を把握できます。
3. 異変を感じたら記録も大事
「頭が痛かった日」「めまいがした日」など、血圧と一緒に体調のメモを残しておくと、医師に相談する際に役立ちます。
4. 迷ったら薬剤師や医師に相談
セルフチェックで気になる値が続いたり、不安がある場合は、薬局で薬剤師に相談することも可能です。
市販の血圧対策サプリや、生活習慣改善の具体策などについてもアドバイスを受けられます。
大切なのは、「今、症状があるかないか」ではなく、日々の変化に気づける体制を作ることです。

まとめ
高血圧は、自覚症状がほとんどないまま進行し、脳・心臓・腎臓などの重大な病気につながる可能性のある疾患です。
頭痛、めまい、耳鳴り、視界のかすみ、胸の痛みなど、日常に潜むわずかな不調を見逃さずにチェックすることが大切です。
もし「年齢のせいかな」と思っている不調があるなら、一度血圧を測ってみることをおすすめします。
定期的な測定と生活習慣の見直しによって、血圧をコントロールし、将来のリスクを減らすことは十分可能です。
違和感に気づいたその時が、健康を守る第一歩。
気になる症状がある方は、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。
参考文献・出典
- 厚生労働省「e-ヘルスネット」:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2022」
- 日本循環器学会「高血圧の早期対策に関する見解」
- 日本医師会「家庭血圧の測り方と活用法」
※本記事は薬剤師の視点から健康情報を提供するものであり、診断・治療・予防を目的としたものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。
この記事を書いた人 Wrote this article
ゆうぞう
みなさんこんにちは! このサイトを運営しているゆうぞうと申します。 現在はとある調剤薬局で管理薬剤師をしております。 このサイトでは将来生活習慣病で困ることの無いように、今からできる対策などについて情報発信していきます。