血圧が高いときに出る体のサインとは?めまい・頭痛との関係

「なんとなく頭が重い」「立ち上がるとフラッとする」──そんな症状、見過ごしていませんか?

実はその不調、血圧の上昇が原因かもしれません。

高血圧は「沈黙の病気」とも呼ばれ、自覚症状が少ないまま進行することが多いですが、体は小さなサインを出して警告していることがあります。

特に頭痛・めまい・肩こり・動悸といった症状は、高血圧が引き起こす代表的なサインです。

この記事では、薬剤師の視点から、

  • 高血圧時に現れる主な体の症状
  • 「めまい」「頭痛」との関係
  • 見逃してはいけない危険なサイン
  • 自宅でできるセルフチェックと対策
  • 薬剤師に相談すべきタイミング

について、できるだけわかりやすく、丁寧に解説していきます。

「まだ大丈夫」と思っているあなたにも、今すぐ確認してほしいポイントがあります。

本記事を通じて、血圧と体のサインの関係を正しく理解し、重大な病気の予防や早期発見に役立てていただければ幸いです。

血圧が高いときの主な症状とは?

高血圧は初期段階ではほとんど自覚症状がないと言われていますが、実際には体が小さなサインを発していることがあります。

以下は、血圧が高くなったときに現れやすい代表的な症状です。

■ 頭痛

後頭部がズキズキするような鈍い痛みは、高血圧の典型的なサインです。

特に朝起きたときに痛むことが多く、これは寝ている間に血圧が上昇し、頭の血管に圧力がかかるためと考えられています。

■ めまい・ふらつき

血圧の急激な変動や、脳内の血流異常によってふわふわした感覚や立ちくらみが起こることがあります。

「急に視界が回る」「真っ直ぐ歩けない」といった症状がある場合は要注意です。

■ 肩こり・首の張り

血圧が高くなると筋肉が緊張しやすくなり、肩や首の筋肉が硬くなる傾向があります。

長期間続く肩こりは、血圧の上昇と関係しているかもしれません。

■ 動悸・胸の違和感

心臓に負担がかかることで、胸がドキドキしたり、圧迫感や重苦しさを感じることがあります。

動悸が長く続く、息苦しさがある場合は循環器系の受診を検討しましょう。

これらの症状は、単体では日常的な不調と見過ごされがちですが、複数が重なる場合や頻繁に起こる場合は高血圧のサインである可能性があります。

次の章では、「めまい」「頭痛」がなぜ起きるのか、医学的な背景について解説していきます。

高血圧と「頭痛」「めまい」の関係

高血圧になると、特に「頭痛」や「めまい」といった症状が現れることがあります。

「一時的な疲れかも」と見過ごしやすいこれらの症状には、実は医学的なメカニズムがあります。

■ なぜ高血圧で頭痛が起こるのか?

高血圧によって脳内の血管に強い圧力がかかると、血管の拡張や炎症が引き起こされることがあります。

このとき、脳の血管の周囲にある神経が刺激され、鈍く重い頭痛を感じるようになります。

特に早朝や目覚めた直後に頭痛が起こる場合は、夜間の血圧上昇が関係している可能性があります。

■ 高血圧とめまいの関係

高血圧になると、脳の血流調節機能が乱れやすくなります。

これにより、一時的な血流の不足や過剰が起こると、脳の平衡感覚を司る部分が影響を受け、ふわふわした感覚やふらつきが出現します。

また、血圧が急に上下する「変動型高血圧」では、めまいや立ちくらみを繰り返すこともあります。

■ ただの疲れと見分けるポイント

  • 朝起きた直後に頭痛がある
  • 頭が重い感じが続く
  • 立ち上がった瞬間にふらつく
  • 急に視界がグラグラする

これらの症状が頻繁にある場合は、高血圧が関与している可能性があるため、自己判断で済ませず、血圧測定を行うことが大切です。

次の章では、さらに深刻な「危険なサイン」の見分け方をご紹介します。

危険なサインの見分け方

「少し頭が痛い」「ちょっとフラフラする」――こうした軽い症状でも、高血圧の影響によるものであれば注意が必要です。

特に脳や心臓の疾患と関係している可能性があるサインは、早期発見・早期対応が重要です。

■ 見逃してはいけない症状一覧

  • 激しい頭痛(突然バットで殴られたような痛み)
  • 吐き気や嘔吐を伴う頭痛
  • 視界がぼやける・片目が見えづらい
  • 手足のしびれ・力が入らない
  • 胸が締めつけられるように苦しい
  • ろれつが回らない、言葉が出にくい

こうした症状は、脳出血・脳梗塞・心筋梗塞・大動脈解離といった命に関わる疾患の前兆であることもあります。

■ 血圧の数値だけでは判断できない

「血圧が150/90mmHgだからまだ軽いかな」と自己判断するのは危険です。

血圧の数値だけでなく、体調の変化や症状と合わせて総合的に判断することが重要です。

■ すぐに医療機関を受診すべきタイミング

  • 血圧が180/110mmHg以上ある
  • 上記のような激しい頭痛や胸の痛みを伴う
  • 症状が急激に現れた、または悪化している
  • 意識がもうろうとする・反応が鈍い

これらの症状は緊急性が高いため、迷わず救急対応を検討してください。

「いつもと違う」「おかしい」と感じたときこそ、早めの行動が自分の命を守ることにつながります。

次の章では、自宅でできる血圧管理と症状のセルフチェックについてご紹介します。

自宅でできる対策とセルフチェック法

高血圧による症状を見逃さないためには、日常の中で血圧を把握し、正しく対処する習慣が重要です。

ここでは、家庭でできる血圧対策とセルフチェックの方法をご紹介します。

■ 血圧測定のポイント

  • 起床後1時間以内、朝食・服薬の前に測定
  • 排尿後、静かな場所で1~2分安静にしてから測る
  • 腕帯(カフ)は心臓の高さで、腕にしっかり巻く
  • 1回ではなく2回測って平均値を記録

同じ時間・同じ条件で測ることで、血圧の変化に気づきやすくなります。

■ 血圧手帳やアプリで記録

紙の血圧手帳はもちろん、最近ではスマホ連動の血圧計や専用アプリもあります。

グラフで推移を見える化することで、いつ異常値が出たかを把握しやすくなります。

■ 生活習慣の見直し

  • 塩分は1日6g未満を目安に減塩
  • ウォーキングや軽い運動を週3回以上
  • 十分な睡眠ストレス解消で自律神経を整える
  • 飲酒・喫煙を控える

すべてを一度に変える必要はありません。できることから少しずつ始めることが大切です。

■ 異常値が続く場合の対応

135/85mmHg以上の家庭血圧が数日続いた場合や、症状があるときは、自己判断せずに医療機関で相談を。

また、薬局では薬剤師による血圧相談や健康アドバイスを受けられる場合もあります。

次の章では、薬剤師ができるサポート内容について詳しくご紹介します。

薬剤師が教える正しい対処法

「血圧が高めだけど、病院に行くほどではない気がする…」

そんなとき、薬剤師はあなたの身近な相談相手として、的確なアドバイスを行うことができます。

■ 薬局でできること

  • 家庭血圧の測定方法の指導
  • 市販の降圧サプリメントの選び方
  • 薬の飲み合わせや副作用の確認
  • 生活習慣改善のアドバイス

薬剤師は、医師の診断を補完する立場として、日常生活の中でできる対策や、適切な受診タイミングの目安を伝える役割も担っています。

■ 市販薬やサプリメントの注意点

高血圧の方向けに販売されているサプリメントや健康食品には、効果に個人差があるため、過度な期待や自己判断による併用には注意が必要です。

たとえば、カリウムを含むサプリを服用する際、腎機能が低下している人にはリスクがあることも。これらの相談も薬剤師が対応できます。

■ 医師との連携もサポート

薬剤師は、医師と連携して服薬情報を共有する体制を持っています。

「血圧の薬が効きすぎている気がする」「飲み忘れが多い」といった悩みも、薬局で相談すれば適切な対応が可能です。

また、薬局によっては血圧計の無料設置や健康相談イベントを行っているところもあります。

病院に行く前の“第一歩”として、薬局の薬剤師に相談することが、高血圧対策の大きな助けになります。

次の章では、この記事の内容をまとめ、参考文献をご紹介します。

まとめ

血圧が高いとき、体はさまざまなサインを出しています。

特に頭痛・めまい・肩こり・動悸といった症状は、日常の疲れと見分けがつきにくいため、注意が必要です。

今回の記事では、次のようなポイントをご紹介しました:

  • 血圧が高いときに起こりやすい主な症状
  • 「めまい」「頭痛」と高血圧の関係
  • すぐに医療機関を受診すべき危険なサイン
  • 自宅でできる対策と血圧のセルフチェック法
  • 薬剤師に相談できることと、その活用方法

高血圧は放置すると脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気につながる恐れがあります。

「なんとなく不調」で済ませず、日々の血圧測定と記録、生活習慣の見直しを積み重ねていきましょう。

不安や疑問があるときは、薬剤師やかかりつけ医に早めに相談することが大切です。

参考文献・出典

  • 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2022」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧の症状と予防」
  • 日本薬剤師会「薬局における生活習慣病支援の取り組み」
  • 日本循環器学会「心血管疾患と血圧管理に関する解説」

※本記事は薬剤師の視点に基づいた情報提供を目的としたものであり、診断・治療・予防を目的とするものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。

この記事を書いた人 Wrote this article

ゆうぞう

みなさんこんにちは! このサイトを運営しているゆうぞうと申します。 現在はとある調剤薬局で管理薬剤師をしております。 このサイトでは将来生活習慣病で困ることの無いように、今からできる対策などについて情報発信していきます。

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