健康診断などで「血圧が高めですね」「ちょっと低血圧気味ですね」と言われたことはありませんか?
一言で“血圧”といっても、高すぎても低すぎても体に悪影響を及ぼす可能性がある重要な指標です。
この記事では薬剤師の視点から、
- 高血圧と低血圧の定義
- それぞれの症状やリスク
- 日常生活で注意したいポイント
について、わかりやすく解説していきます。
「どちらの方が危険なの?」「どこまでが正常?」といった疑問にもお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
高血圧とは?どこからが高いの?
高血圧とは、血管にかかる圧力(血圧)が慢性的に高い状態を指します。
特に初期には症状が出にくいため、“サイレントキラー(静かな殺し屋)”とも呼ばれています。
■ 高血圧の基準値(家庭血圧)
分類 | 収縮期(上) | 拡張期(下) |
---|---|---|
正常値 | 120 mmHg 未満 | 80 mmHg 未満 |
正常高値 | 120~129 mmHg | 80 mmHg 未満 |
高値血圧 | 130~134 mmHg | 80~84 mmHg |
高血圧 | 135 mmHg 以上 | 85 mmHg 以上 |
※病院での測定(診察室血圧)の場合、135/85 ではなく 140/90 以上が高血圧とされます。
■ 高血圧で起こりうる症状とリスク
- 頭痛・肩こり・めまい(初期症状)
- 心臓や腎臓への負担
- 脳卒中・心筋梗塞・動脈硬化のリスク増加
高血圧は、自覚がないまま進行し、突然重い症状が出ることもあるため、定期的な血圧測定が大切です。
低血圧とは?どこからが低いの?
低血圧とは、血圧が基準値よりも慢性的に低い状態を指します。
一般的に高血圧よりも軽視されがちですが、日常生活に支障をきたす症状が現れることもあるため、注意が必要です。

■ 低血圧の定義(家庭血圧)
日本高血圧学会のガイドラインでは明確な「低血圧の診断基準」は設けられていませんが、一般的には以下のようにされています。
分類 | 収縮期(上) | 拡張期(下) |
---|---|---|
低血圧 | 100 mmHg 未満 | 60 mmHg 未満 |
■ 低血圧で現れる主な症状
- 朝起きられない・午前中に強い眠気やだるさ
- 立ちくらみ・めまい・冷え性
- 集中力の低下・疲れやすさ
中には、立ち上がったときに血圧が一時的に下がる「起立性低血圧」や、若い女性に多い「本態性低血圧」などもあります。
低血圧そのものが直接命に関わることは少ないものの、日常生活に支障をきたすケースも多く、「体質だから」と放置せず対策することが大切です。
高血圧と低血圧の違いを表で比較
ここでは、これまで解説してきた高血圧と低血圧の違いを一目で比較できるよう、表にまとめました。
項目 | 高血圧 | 低血圧 |
---|---|---|
定義(家庭血圧) | 135/85 mmHg 以上 | 100/60 mmHg 未満 |
主な症状 | 頭痛、めまい、肩こり、動悸 | 立ちくらみ、だるさ、冷え、眠気 |
リスク | 脳卒中、心筋梗塞、動脈硬化 | 失神、起立性低血圧、集中力低下 |
原因 | 塩分過多、ストレス、肥満、遺伝 | 体質、貧血、自律神経の乱れ |
対策 | 減塩、運動、睡眠改善、服薬 | 生活リズムの安定、水分・塩分補給 |
このように、高血圧と低血圧では症状や対応策が大きく異なります。
どちらも油断せず、自分の血圧傾向を知ることが健康維持の第一歩です。
どちらも軽視できない!対策の基本
高血圧も低血圧も、それぞれにリスクがあり、放置せずに正しく対処することが重要です。

■ 高血圧の対策ポイント
- 減塩(1日6g未満を目標)
- 運動習慣(ウォーキングなど有酸素運動)
- 睡眠とストレスケア(自律神経の安定に)
- 必要に応じて降圧薬の服用(医師の指導のもと)
■ 低血圧の対策ポイント
- 生活リズムを整える(就寝・起床を規則正しく)
- 水分と塩分をしっかり摂る(脱水予防)
- ゆっくり起き上がる(起立性低血圧の防止)
- 朝食を抜かない(エネルギー切れ防止)
どちらの場合も、日々の血圧測定と記録が健康管理のカギになります。
「なんとなく不調」が続くときは、自分の血圧がどうなっているかを見直してみましょう。
まとめ
高血圧と低血圧は、真逆のようでいてどちらも放置すると体にさまざまな不調や疾患を招くリスクがあります。
特に高血圧は「自覚症状がないまま進行する」ことが多く、命に関わる病気の引き金になることもあるため、早めの対策が重要です。
一方で低血圧も、「体質だから」と軽く見ていると、日常生活の質が低下したり、急な立ちくらみで事故につながる可能性もあります。
- 高血圧:135/85mmHg以上(家庭血圧)、脳・心血管疾患のリスク増
- 低血圧:100/60mmHg未満、倦怠感や集中力低下、起立性低血圧に注意
- どちらも生活習慣の見直しが第一歩
まずは自分の血圧を「知る」ことから始めましょう。不安がある場合は、薬剤師や医師などの専門家に早めに相談することをおすすめします。
参考文献・出典
- 日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2022』
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」「低血圧」
- 日本循環器学会『循環器疾患診療ガイドライン』
- 日本薬剤師会『生活習慣病と薬局の役割』
※本記事は薬剤師の視点に基づいた健康情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を行うものではありません。気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。
この記事を書いた人 Wrote this article
ゆうぞう
みなさんこんにちは! このサイトを運営しているゆうぞうと申します。 現在はとある調剤薬局で管理薬剤師をしております。 このサイトでは将来生活習慣病で困ることの無いように、今からできる対策などについて情報発信していきます。