- 2026年5月26日
【薬剤師が解説】小林製薬 血圧ヘルプの口コミは本当?成分・効果・注意点を整理
小林製薬 血圧ヘルプは、GABAを含む機能性表示食品です。薬剤師の視点から、口コミ・成分・研究データ・注意点・楽天での価……

健康診断や血圧を測定する際、先にトイレを済ませるように言われたことのある方、多いのではないでしょうか?
トイレに行ったか行ってないかで本当に血圧に影響するの?
と、思うこともあるかもしれません。
実は、膀胱に尿がたまった状態(トイレを我慢している状況)では、血圧が一時的に高くなることが研究で報告されています。
この記事では、排尿前後で血圧がどれくらい変わるのか、なぜ尿意が血圧に影響するのかを、実際の研究データをもとに解説します。

結論からいうと、トイレを我慢して膀胱に尿がたまっていると、血圧は一時的に上がることがあります。
実際に、膀胱が充満した状態と排尿後の血圧を比較した研究では、排尿前のほうが血圧が高かったことが報告されています。
また、強い尿意がある状態では、血圧だけでなく交感神経の活動も高くなった研究もあります。
そのため、血圧をできるだけ正確な条件で測りたい場合は、尿意を我慢したまま測るのではなく、先にトイレを済ませてから測ることが大切です。
アメリカ心臓協会(AHA)でも、家庭で血圧を測る際の準備として「膀胱を空にする」ことを推奨しています。
ただし、ここで注意したいのは、
「トイレを我慢すると一時的に血圧が上がる」ことと、「トイレを我慢すると高血圧になる」ことは同じではない
という点です。
これまでの研究で確認されているのは、主に膀胱に尿がたまっている間にみられる短時間の血圧変化です。
トイレを我慢する習慣そのものが慢性的な高血圧を引き起こす、とまでは現在の研究から断定できません。
血圧は尿意以外にも、測る姿勢や直前の運動、カフェイン、会話など、さまざまな条件で変動します。
そのため家庭血圧では、毎回できるだけ同じ条件で測ることが大切です。
こちらの記事では、朝は「起床後1時間以内・トイレを済ませたあと・朝食や服薬の前」を目安にするなど、家庭血圧を測るタイミングや注意点を詳しく解説しています。
では、実際にトイレを我慢すると血圧はどの程度変わるのでしょうか。
次は、排尿前後の血圧を比較した研究を具体的な数字とともに見ていきます。

「トイレを我慢すると血圧が上がる」といっても、実際にはどのくらい変わるのでしょうか。
この点については、排尿前と排尿後の血圧を比較した研究や、膀胱に尿がたまっていく過程で血圧と交感神経の変化を調べた研究があります。
私自身もトイレを我慢すると血圧が高くなることは知っていましたが、実際にどのような研究が行われ、どれくらい血圧が上昇したのかまでは知らなかったので、調べてみると非常に興味深い結果でした。
2011年に韓国で行われた研究では、健康増進センターを受診した中年女性172人を対象に、膀胱に尿がたまった状態と排尿後の血圧が比較されました。
この研究では、単に「トイレに行きたい」という本人の感覚だけで判断したわけではありません。
腹部超音波検査で膀胱に尿がたまっていることを確認したうえで、排尿前と排尿後に血圧を測定しています。
その結果、排尿前の血圧は排尿後と比べて、平均で次のように高くなっていました。
| 血圧 | 排尿前と排尿後の平均差 |
|---|---|
| 収縮期血圧(上の血圧) | 4.2mmHg |
| 拡張期血圧(下の血圧) | 2.8mmHg |
どちらも、尿を我慢して膀胱に尿がたまっている状態のほうが有意に高い結果でした。
「4mmHg程度なら、それほど大きな違いではない」と感じるかもしれません。
しかし、健康診断や家庭血圧などで測定値が基準の境界付近にある場合には、数mmHgの違いでも測定結果の見え方が変わる可能性があります。
研究者らも、この結果から血圧は膀胱を空にしてから測定することが望ましいとしています。
さらにこの研究では、排尿前後の血圧だけでなく、参加者がどのくらいの時間、尿を我慢していたのかについても調べられています。
「長い時間トイレを我慢しているほど、血圧も大きく上がりそう」と思うかもしれませんが、実際には尿を我慢していた時間と血圧の変化量との間に、明確な関係は確認されませんでした。
つまり、「3時間我慢したから○mmHg上がる」「5時間ならさらに上がる」というように、我慢した時間だけで血圧の上がり幅が決まるわけではなさそうです。
尿意の強さや膀胱にたまっている尿の量、個人差など、時間以外の要因も関係している可能性があります。
さらに興味深いのが、1989年に発表された健康な成人16人を対象とした研究です。
この研究では、膀胱に尿がたまって強い尿意を感じるまでの間に、血圧がどのように変化するのかを調べました。
強い尿意を感じた時点では、平均血圧が次のように変化しています。
| 血圧 | 開始時 | 強い尿意があるとき |
|---|---|---|
| 収縮期血圧 | 125mmHg | 140mmHg |
| 拡張期血圧 | 74mmHg | 84mmHg |
平均すると、上の血圧は約15mmHg、下の血圧は約10mmHg上昇したことになります。
そして、この研究が特に面白いのは、単に血圧を測っただけではない点です。
「なぜ血圧が上がったのか」を調べるために、血圧を調節している交感神経の働きまで実際に測定しています。
交感神経は、自律神経の一つです。
緊張したときや体を活動させるときなどに働き、血管を収縮させることで血圧を上げる方向にも作用します。
そのため研究者は、「膀胱に尿がたまったとき、血圧だけでなく交感神経も活発になっているのではないか」と考え、実際の神経活動を調べました。
では、交感神経の働きはどうやって測るのでしょうか。
この研究では、「マイクロニューログラフィー」という方法が使われています。
少し難しい名前ですが、方法自体はイメージすると分かりやすく、膝の外側付近を走っている神経に非常に細い電極を入れて、神経から出ている電気信号を直接記録するというものです。
今回測定されたのは、筋肉の血管に向かう交感神経の活動です。
神経の電気信号は、「バースト」と呼ばれるまとまりとして記録できます。
そこで研究では、1分間にこの神経活動のまとまりが何回現れたかを数えました。
その結果は次の通りです。
| 開始時 | 強い尿意があるとき | |
|---|---|---|
| 交感神経活動 | 16.3回/分 | 23.2回/分 |
つまり、膀胱に尿がたまり強い尿意を感じたときには、血管を収縮させる方向に働く交感神経の活動も明らかに増えていたということです。
さらに排尿すると、上昇していた血圧と交感神経の活動は、どちらも元の状態に近づきました。
この研究を見ると、「トイレを我慢して不快だったから、なんとなく血圧が上がった」というだけではなく、膀胱に尿がたまることをきっかけに、体の神経反応そのものが変化していることが分かります。
ただし、この研究は16人という小規模な研究です。
また、強い尿意が生じるまで膀胱を満たした条件で行われているため、「少しトイレに行きたいだけで誰でも15mmHg血圧が上がる」という意味ではありません。
実際、先ほど紹介した172人の研究では平均4.2/2.8mmHgの差でした。
そのため、血圧への影響の大きさには、尿意の強さや個人差、測定条件などが関係すると考えるのがよいでしょう。
では、なぜ膀胱に尿がたまると交感神経が活発になり、血圧まで変化するのでしょうか。
次は、膀胱から神経へ伝わる刺激と、血管の反応からその仕組みを見ていきます。

前の研究では、膀胱に尿がたまって強い尿意を感じると、血圧だけでなく交感神経の活動も増えていることがわかりました。
では、なぜ「尿がたまる」という膀胱の変化が、離れた場所にある血管や血圧にまで影響するのでしょうか。
そのポイントになるのが、膀胱から脳や脊髄へ伝わる神経の信号と、それに反応する交感神経です。
尿がたまると、膀胱の壁は少しずつ引き伸ばされていきます。
私たちが「そろそろトイレに行きたい」と感じることができるのも、この膀胱の広がりに関する情報が神経を通じて脊髄や脳へ伝えられているためです。
膀胱にさらに尿がたまり、強い尿意を感じるほどになると、単に「トイレに行きたい」という感覚が強くなるだけではありません。
膀胱から入ってくる刺激に対して体が反応し、自律神経の一つである交感神経の働きも強くなると考えられています。
実際、前の章で紹介した健康な成人16人の研究では、膀胱が満たされて強い尿意を感じたときに、血管に向かう交感神経の活動が増加していました。
そして排尿すると、その神経活動と血圧はどちらも元の状態に近づいています。
では、交感神経が活発になるとなぜ血圧が上がるのでしょうか。
交感神経にはさまざまな働きがありますが、今回特に関係していると考えられるのが、血管を収縮(細く)させる働きです。
血管が収縮すると、血液が通る部分が狭くなり、血液を流すために必要な圧力が高くなります。
その結果として、血圧が上がる方向に働きます。
今回紹介した研究では、強い尿意があるときに血管を収縮させる方向に働く交感神経の活動増加と、血圧上昇が同時に確認されています。
研究者らはこの反応を、膀胱の充満に対して起こる「膀胱―血管反射(vesicovascular response)」として説明しています。
難しい名前ですが、簡単にまとめると、
膀胱に尿がたまる
↓
膀胱が引き伸ばされた情報が神経を通して伝わる
↓
交感神経の働きが強くなる
↓
血管が収縮する方向に働く
↓
血圧が一時的に上がる
という流れです。
尿意を我慢していると、不快だったり落ち着かなかったりします。
そのため、「トイレに行きたくてイライラしたから血圧が上がっただけでは?」と思うかもしれません。
もちろん、不快感や緊張が血圧に影響する可能性まで完全に否定することはできません。
しかし、実際の研究では血圧の変化だけでなく、血管を調節する交感神経の活動そのものが増加していることが確認されています。
そのため、単なる気分や不快感だけではなく、膀胱が満たされたことをきっかけとした自律神経の反応が、血圧上昇に関係していると考えられています。
ただし、人で「膀胱からのどの神経信号が、どの経路を通り、どの程度血圧を変化させるのか」まで、すべてが単純に解明されているわけではありません。
現時点では、膀胱の充満によって交感神経による血管収縮作用が強まり、それが一時的な血圧上昇に関与するというように考えるのがよいでしょう。
では、こうした研究結果を見て「トイレを我慢すると血圧が15mmHgも上がる」と考えてよいのでしょうか。
次は、研究対象者の人数や条件の違いなど、今回の研究結果を日常生活に当てはめる際の注意点を整理していきます。

ここまでの研究を見ると、膀胱に尿がたまった状態では血圧が高くなることがあり、その背景には交感神経の働きが関係していると考えられます。
ただし、「平均4.2mmHg上がった」「強い尿意では15mmHg上がった」という数字を、そのまま自分に当てはめるのは少し注意が必要です。
トイレを我慢したときの血圧の変化には、かなり個人差があるからです。
172人の中年女性を調べた研究では、排尿前の血圧は排尿後と比べて、収縮期血圧が平均4.2mmHg、拡張期血圧が平均2.8mmHg高くなっていました。
ここで注意したいのが「平均」という言葉です。
たとえば、学校のテストでクラスの平均点が70点だったとしても、全員が70点を取ったわけではありません。
90点の人もいれば、50点の人もいます。
今回の血圧の研究も同じで、「平均4.2mmHg上がった」=「ほとんどの人が4mmHgくらい上がった」ではありません。
実際、研究では排尿前後の血圧差が、
| 血圧 | 平均差 | ばらつき(標準偏差) |
|---|---|---|
| 収縮期血圧 | 4.2mmHg | ±10.7mmHg |
| 拡張期血圧 | 2.8mmHg | ±7.7mmHg |
と報告されています。
「標準偏差」という言葉は少し難しいですが、ここでは「人によって結果がどのくらいバラバラだったかを見る数字」と考えてください。
収縮期血圧では、平均4.2mmHgに対して、ばらつきを示す数字が10.7mmHgあります。
つまり、平均値以上に個人差が大きかったということです。
そのため、「トイレを我慢すると必ず4mmHg上がる」と覚えるのではなく、
「平均すると血圧は高くなったものの、ほとんど変わらない人もいれば、大きく変わる人もいた」
と考える方が実際の研究結果に近くなります。
この研究では、血圧の数字だけでなく、排尿前後で血圧のカテゴリーが変化したかについても調べています。
これも、学校の成績で考えるとイメージしやすいかもしれません。
たとえば、79点と80点で評価が「B」と「A」に分かれる場合、わずか1点の違いでも評価は変わります。
血圧も同じように、基準となる数字の近くにいる人では、数mmHg変わるだけで分類が一段階変わることがあります。
実際、この研究で排尿後には「正常」と分類された92人のうち、尿を我慢している状態では24人(約26%)が、より高い血圧カテゴリーに入っていました。
研究参加者172人全体で見ると、53人(約31%)は、尿を我慢しているときの方が排尿後より高い血圧カテゴリーに分類されていました。
つまり、平均すると上の血圧は4.2mmHgの差でしたが、個人単位で見ると、測定結果の「評価」まで変わるほど影響を受けた人もいたということです。
ただし、この研究で使われた血圧カテゴリーは、当時のアメリカのJNC VIIという基準によるものです。
現在の日本の高血圧診断基準とは、そのまま同じように比較できません。
そのため、「トイレを我慢したことで約3割の人が高血圧になった」という意味ではありません。
あくまで、「測定する条件によって血圧の評価が高い側へ動く人が一定数いた」と考えてください。
もう一つの研究では、血圧が平均125/74mmHgから140/84mmHgまで上昇していました。
上の血圧だけを見ると、約15mmHgの上昇です。
「それなら、トイレを我慢すると血圧は15mmHgくらい上がるの?」と思うかもしれません。
しかし、この研究は健康な成人16人を対象とした小規模な研究です。
さらに、少し尿意を感じる程度ではなく、かなり強い尿意を感じるまで膀胱に尿をためた状態で測定されています。
そのため、この研究で重要なのは「15mmHg」という数字そのものよりも、
膀胱が強く満たされると、血圧の上昇と同時に交感神経の活動も増えていた
という点です。
つまりこの研究は、「一般の人は平均15mmHg上がる」と示した研究というより、なぜ尿意によって血圧が上がるのか、その仕組みを調べた研究として見る方が分かりやすいでしょう。
人数の多かった172人の研究にも、注意して見たい点があります。
まず、対象となったのは40~60歳の中年女性です。
そのため、男性や若い人、高齢者、日本人でもまったく同じ結果になるとは限りません。
また、この研究では最初に尿を我慢している状態で血圧を測り、その後トイレへ行ってからもう一度測定しています。
つまり、測定の順番は全員、
排尿前 → 排尿後
でした。
ここで考えられるのが「最初に測ったときの緊張」です。
病院や健康診断で最初に血圧を測ったときは緊張していたものの、2回目には少し慣れて血圧が下がった可能性もあります。
たとえば、初めて人前で話すときより、2回目の方が少し緊張しにくいのと似ています。
研究者らも、こうした心理的な影響が排尿前後の血圧差の一部に関係した可能性を挙げています。
また、尿を我慢していた時間については参加者の記憶をもとにしており、膀胱に尿がたまっていく途中の血圧を連続して測った研究ではありません。
そのため、平均4.2/2.8mmHgという数字を絶対的なものとして考えるよりも、
「膀胱がいっぱいの状態は、血圧を高く測ってしまう原因の一つになり得る」
と捉えるのがよいでしょう。
そして、最も誤解したくないのがこの点です。
今回の研究で確認されているのは、膀胱に尿がたまっている間に血圧が一時的に高くなり、排尿すると低下するという変化です。
トイレを我慢したことで、慢性的な高血圧になったという研究ではありません。
血圧は、写真のように一度測ればずっと同じ数字になるものではなく、そのときの体の状態を映す「瞬間の数値」でもあります。
運動した直後、緊張しているとき、会話しているとき、カフェインを摂ったあとなどでも血圧は変化します。
だからこそ、家庭血圧や健康診断で血圧を評価するときには、できるだけ条件をそろえて測ることが重要です。
アメリカ心臓協会(AHA)でも、家庭で血圧を測る際には、測定前に膀胱を空にし、少なくとも5分程度安静にしてから測定することなどを推奨しています。
今回の研究結果から日常生活で最も重要なのは、
「トイレを我慢すると何mmHg上がるのか」を気にすることより、正確な血圧を測りたいときには、先にトイレを済ませておくこと
と考えるのがよいでしょう。
では、家庭や健康診断で血圧を測るときには、具体的にどのような点を意識すればよいのでしょうか。
次は、今回の研究結果をもとに、血圧測定前に実践したいポイントを整理していきます。

ここまで紹介してきた研究から、膀胱に尿がたまった状態では、血圧が普段より高く測定される可能性があることが分かりました。
では、実際に家庭や健康診断で血圧を測るときには、どのようにすればよいのでしょうか。
結論はとてもシンプルです。
血圧を測る前に尿意があるなら、先にトイレを済ませてから測定しましょう。
特別な対策が必要なわけではありませんが、血圧はちょっとした条件でも変化するため、「できるだけ同じ条件で測る」という意識が大切です。
アメリカ心臓協会(AHA)では、家庭で正確に血圧を測定するための準備として、測定前に膀胱を空にすることを推奨しています。
今回紹介した研究を考えると、その理由も分かりやすいでしょう。
膀胱に尿がたまっていると、交感神経が活発になり、血管が収縮する方向に働くことで、一時的に血圧が高くなる可能性があります。
特に、
などは、トイレを後回しにしてしまうこともあるかもしれません。
尿意がある状態でそのまま測るよりも、先にトイレを済ませ、少し落ち着いてから測定する方が、普段の状態に近い血圧を測りやすくなります。
反対に、尿意がまったくないのに「血圧を測る前だから」と無理に排尿する必要まであるわけではありません。
大切なのは、強い尿意を我慢した状態で血圧を測らないことです。
「トイレを済ませたら、その場ですぐ血圧を測ればいい」というわけでもありません。
AHAでは、血圧測定前に少なくとも5分間、静かに座って休むことも推奨しています。
たとえば健康診断で、
受付に急いで到着する → トイレへ行く → すぐ血圧を測る
という流れでは、歩いた直後の影響や緊張などが血圧に残っている可能性があります。
トイレを済ませたあと、椅子に座って少し落ち着いてから測る方がよいでしょう。
家庭でも同じです。
朝起きてトイレへ行ったあと、家事を始めたり階段を上り下りしたりする前に、落ち着いて血圧を測るようにすると測定条件をそろえやすくなります。
今回の記事ではトイレと血圧の関係に注目していますが、血圧の測定値に影響するのは尿意だけではありません。
AHAでは、より正確に血圧を測るために、次のような点も推奨しています。
一つひとつを見ると細かいルールに感じるかもしれません。
しかし、血圧はその瞬間の体の状態によって変化するため、測定条件が毎回バラバラだと、「本当に血圧が変わったのか」「測り方の違いで変わったのか」が分かりにくくなります。
たとえば、体重を比較するときも、朝と夜、食前と食後、服を着た状態と脱いだ状態では数字が変わります。
血圧も同じで、毎回なるべく同じ条件で測るからこそ、日々の変化を比較しやすくなると考えると分かりやすいでしょう。
家庭で血圧を測る時間については、こちらの記事で朝・夜それぞれの測定タイミングや注意点を詳しく解説しています。
今回の研究を知ると、健康診断で血圧が高かったときに「トイレを我慢していたせいかも」と考えることもあるかもしれません。
実際、尿意が測定値に影響した可能性はあります。
ただし、血圧が高かった原因を尿意だけで判断することはできません。
緊張や直前の運動、測定姿勢、カフェインなど、血圧を一時的に変化させる要因はほかにもあります。
また、本当に血圧が高い状態が続いている可能性もあります。
健康診断などで高い値を指摘された場合には、「トイレを我慢していたから大丈夫」と自己判断するのではなく、家庭でも条件をそろえて血圧を測り、その結果を確認することが大切です。
今回の研究から日常生活に取り入れられることは難しくありません。
尿意があるなら、先にトイレへ行く。そして少し落ち着いてから血圧を測る。
たったこれだけでも、余計な測定誤差を減らすことにつながります。
次は、トイレ以外にも知っておきたい血圧が一時的に高く出る条件について見ていきます。

今回の記事では「トイレを我慢すること」に注目してきましたが、実は血圧は測る直前の行動や姿勢によっても意外なほど変化することがあります。
「昨日より10mmHg高いから、急に血圧が悪くなったのかな?」と思っても、必ずしも体そのものが大きく変化したとは限りません。
血圧を測ったときの条件が違っていただけ、ということもあります。
血圧を測っている最中、家族と話したり、病院のスタッフから質問されて答えたりすることはないでしょうか。
何気ない行動ですが、血圧測定ではこれも誤差の原因になります。
アメリカ心臓協会(AHA)が血圧測定について紹介した資料では、会話によって血圧測定値が最大19mmHg程度高くなる可能性があるとされています。
「怖い話や緊張する話をしていたから」というだけではありません。
人と話すためには、相手の話を聞き、内容を考え、言葉を返します。
こうした脳の活動そのものが血圧に影響するため、血圧を測っている間は何も話さず、静かにしていることが大切です。
さらに意外なのが「姿勢」です。
AHAが紹介しているデータでは、測定時の条件によって、次のような違いが生じる可能性があるとされています。
| 測定時の状態 | 血圧への影響の目安 |
|---|---|
| 会話をする | 最大約19mmHg高くなることがある |
| 足を組む | 最大約15mmHg高くなることがある |
| 腕を心臓の高さで支えない | 最大約20mmHg高くなることがある |
| 背中や足を支えない | 約5mmHg高くなることがある |
もちろん、これらの数字は誰でも必ず同じだけ上がるという意味ではありません。
ただ、「姿勢くらいでそんなに変わるの?」と思うほど、血圧測定は周囲の条件に影響されやすいことが分かります。
血圧計そのものが正確でも、測る人の姿勢や行動が毎回違えば、数字も比較しにくくなってしまいます。
血圧を測る直前の行動にも注意が必要です。
AHAでは、血圧測定前の30分以内は、カフェインを含む飲み物、運動、喫煙を避けることを推奨しています。
たとえば、
といった場合には、普段より高い数字が出る可能性があります。
「今日は高かった」と数字だけを見るのではなく、測る直前に何をしていたかも一緒に振り返ってみるとよいでしょう。
トイレを我慢したとき、運動した直後、緊張したときなど、血圧が一時的に高くなる原因はいくつもあります。
そのため、1回だけ高い数字が出ても、それだけで普段から血圧が高いとは判断できません。
反対に、「今日は緊張していたから」「コーヒーを飲んだから」と毎回理由をつけて、高い血圧をそのままにしてよいわけでもありません。
大切なのは、条件をそろえた家庭血圧でも高い状態が続いているかを見ることです。
HEALTHY-INFOでは、ストレスや睡眠不足、食事など、血圧が急に高くなる原因についても詳しく解説しています。
また、「そもそも上の血圧と下の血圧は何が違う?」「1回高かったら高血圧なの?」という方は、こちらの記事も参考にしてください。
血圧とは?上の血圧・下の血圧・正常値の見方を薬剤師がわかりやすく解説
血圧が気になり始めて、食事や運動、家庭血圧まで含めて全体的に見直したい場合はこちらにまとめています。
血圧が気になる人へ|食事・運動・測定習慣・健康食品の選び方を薬剤師が解説
今回の「トイレを我慢する」という条件も含め、血圧はさまざまな要因で上下します。
だからこそ、1回の数字に一喜一憂するのではなく、毎回できるだけ同じ条件で測り、普段の血圧の傾向を見ることが大切です。
最後に、今回紹介した研究から分かっていることを簡潔にまとめていきます。

今回紹介した研究から、膀胱に尿がたまった状態では、血圧が一時的に高くなることがあると分かっています。
ポイントを簡単にまとめると、次の通りです。
研究結果を見ると、「血圧を測る前にトイレを済ませましょう」という注意には、きちんと理由があることが分かります。
一方で、「トイレを我慢すると必ず4mmHg上がる」「強い尿意なら必ず15mmHg上がる」というように、研究の平均値をそのまま自分に当てはめることはできません。
尿意の強さや個人差、測定時の姿勢、緊張、運動、カフェインなど、血圧にはさまざまな要因が影響します。
だからこそ、家庭で血圧を記録するときには、1回の数字に一喜一憂するよりも、できるだけ毎回同じ条件で測ることが重要です。
血圧を測る前に尿意があるなら、まずトイレを済ませる。
そして少し落ち着いてから、正しい姿勢で血圧を測る。
特別な道具も必要なく、今日からすぐにできることですが、より正確な血圧を知るためには意外と大切なポイントです。
家庭血圧を測る時間や朝・夜それぞれの注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
この記事では、膀胱に尿がたまった状態と血圧の関係を調べた原著論文を中心に、アメリカ心臓協会(AHA)や日本高血圧学会の情報を参考にしています。
※研究結果は、対象者の年齢・性別・尿意の強さ・膀胱の状態・測定条件などによって異なる可能性があります。本記事で紹介した平均値が、すべての人にそのまま当てはまるわけではありません。
※今回紹介した研究で確認されているのは、主に膀胱に尿がたまった状態でみられる一時的な血圧変化です。「トイレを我慢すると慢性的な高血圧になる」と証明した研究ではありません。
※健康診断や家庭血圧で高い値が続く場合は、「トイレを我慢していたから」と自己判断せず、家庭でも適切な条件で血圧を測定し、必要に応じて医師や医療機関へ相談してください。
みなさんこんにちは! このサイトを運営しているアラサー薬剤師と申します。 現在はとある調剤薬局で管理薬剤師をしております。 このサイトでは将来生活習慣病で困ることの無いように、今からできる対策などについて情報発信していきます。 薬剤師歴8年 研修認定薬剤師4年目 学校薬剤師3年目 休日夜間急病センター4年目
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